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Mataranka Bitter Springs

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朝一で現在はほぼ廃墟となっている街、New Castle Watersに向かう。軽く観光しただけだったけれど短いこの国の歴史の中でも多くの変遷があったことが伺える。しかもこの荒野のど真ん中だ。国と言ってみても実態としては現在でも無人の荒野がいたるところに存在する広大な大陸だ。その辺境で牛を追いながら生きるのは半端なことではない。日本では国産牛に劣る安い外国産牛肉として軽視されがちなオージービーフだけどこういう話を聞くと涙なしでは食べられない。そしてStuart Hwyに入ってからは以前はそうしたStockmanと呼ばれる人達が追っていた牛を巨大なRoad Trainに満載して運搬する。自分達的通称はドナドナトレイン。結構横にぶれるので追い越される時もすれ違う時も怖い。

さらに進んでDaly watersの不思議なPubに立ち寄る。ここは壁中に世界各国のお札が貼り付けられていて、さらに店内には無数のビーチサンダルやワッペンが貼り付けられている場所もあり、カウンターの上には多くのブラジャーが日付入りでぶら下がっていた。ちょうどツアー客が来て写真を撮りまくっていたので誰かおもむろにブラジャーを脱ぎださないかと待っていたけれど残念ながらこの日はそういう人はいなかった。

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そしてそこからさらに北に。途中の街で給油しようと思ったらなんと街に一軒しかやっていないガソリンスタンドがやっていなかった。Shit!! 前後80kmには給油ポイントはない。もしここを当てにしてぎりぎりで辿り着いたら立ち往生するしかない。ぎりぎりこの日の目的地のMatarankaまで何とかなるかもしれないくらいの燃料が残っていたのでだましだまし走る。この辺りから焼けている森が増え始める。中には煙を上げてくすぶっているところも。こんな場所では止まりたくない。冷や冷やしながら一時間後、何とかMatarankaの街に到着して給油する。そしてこの街はNormantonをさらに越えるアフリカっぽい街だった。辺りの公園の芝生ではアボリジニ達がそこここで車座になって座ったり寝転んだりして何をするでもなく過ごしている。そして乾いた街並みとBush。自分がどこにいてどこに向かっているのか、よく分からなくなる光景だ。

だけどこの街にはN.Tのガイドブックならどれにでも載っている有名な温泉、Mataranka Thermal Poolがある。ひとまずその温泉のある宿に向かう。チェックインして早速水着に着替えて椰子の木の森の中にある温泉に向かう。木道を抜け、人だかりの方に向かうと川の一部を工事してプールにした場所に出る。早速入ると温度は体温より少し低いくらい。長い間Outbackを抜けて乾ききった体にはこれ以上ない潤いだった。まさに楽園。

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でもこの時はまだこれがほんの始まりだということに気付くよしもなかった。

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この日はMatarankaにもう一つある温泉に行くことにした。Bitter Springsという名前で、湧き出す水に含まれる鉱物のせいで苦味のある味がするためこの名前になったらしい。街の反対側から看板に沿って細い道を進むとCaravan Parkがあり、その先に湿地や川がところどころ見えてやがて駐車場に出る。そこから遊歩道を300m程歩くと木々の間に階段の手すりが見え、開けた川に出る。ここは本当に素晴らしい。上り下りのための階段以外は全て自然のままの川で、岸も固められたりしていない。深さは基本的に2m以上と深く、足は立たない。それでも岸辺には座れる自然の岩や沈んだ流木があり、その周りには紫色の蓮の花が美しく咲いている。これこそ本物の楽園。開けた川の真ん中から見上げる空は青く広がり、緑色のヤシの木や水草が生い茂り、その上をカワセミが飛ぶ。水の色は鉱物の成分のために透き通った青緑色でまるで宝石のよう。

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最初着いた時には先客は一人だけ。飛び込んで思う存分泳ぐ。温度はやはり34℃程度とうっすら暖かい程度。昼間だったので水は陽光に照らされて川底まで光り輝く。川の流れに沿って泳げるようになっていて、川下には岸に上るための階段と梯子が一箇所づつ設置されている。水面の高さでその美しい景色を見ながら泳ぐのは今までにない体験だった。30分程遊んでいると次から次へと他の人達がやってきては泳ぎだす。老夫婦も家族連れも若いバックパッカー達もみんな水着になって泳ぐ。最初、水に足を入れた瞬間に全員が水の温度にアガって顔がほころぶのが面白い。冷たくなく、熱くなく、あくまで最適の温度。全ての緊張が解きほぐれてリラックスの極みの表情でそのまま水の中に入る。

そんな彼らを見ながらゆっくりと川を楽しむ。しばらくするとさすがに人が増えてきたけれど、それでもかなり長い時間ゆっくりしてから宿に戻った。

そうしたらCairnsのWinter Solsticeで出会ったBenと再会した。彼はBroomeに向けて旅をしている途中だという。
by djsinx | 2008-08-06 18:51 | 旅の記録
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