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Boom Festivalへ

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リスボン空港のアライバルで、またBoomに向かいそうな女の子二人連れに会う。ブラジルから来たノリノリのギャル達で、Boomは2回目だという。どうやって行くのか分かる?と聞くと、最寄の駅までタクシーで行くからシェアしないかという話になる。知っている人がいた方が断然心強かったのでその申し出をありがたく受けることにする。グラウディアとパトリシア、偶然の出会いがドラマになる。

言葉が通じるので話は早い。すぐに長距離列車の出るオリエンテ駅まで到着し、そこで切符を買って特急に乗る。指定席の列車だけれど、3時間乗って14ユーロとかなりお得だ。ブラジリアンギャルズとは別の車両だった。眠れていなかった分の睡眠をそこでもがんばって取り戻す。ポルトガルの風景はドイツともオランダともやはり違う。なんというか、とても昔風だ。50年前の風景だと言われてもそのまま信じてしまいそうな風情がある。街並みも、残された自然も素朴で、ワイルドだ。田舎の景色は乾いた大地が広がる。オリーブのような硬い葉の木がそこに生えている。南欧のイメージそのままだ。

車内にはBoomに向かう人でいっぱいだった。ヨーロッパのみならず、世界中から人が集まっている。ブラジルの彼女らもそうだし、タイ人の姿もあった。みんな和気藹々とこれから始まるお祭のことを話している。

カステロブランコで列車を降りる。2人が外で待っている気がしたので急いで改札を抜けると案の定、タクシーのところで手招きしていた。言われるままにタクシーに乗り込むとすぐに出発。出遅れると面倒なのかもしれない。

タクシーは街を抜けてずいぶん走る。そんなに遠くないと思っていたので意外だった。丘と畑を越えて延々と遠くまで道は続いている。そんな中を30分以上走っただろうか。前方に車列が見えてくる。それはBoomに向かう車の群れだった。間違いようもない。ずいぶん長いこと停車しているらしく、外に椅子や布を出してくつろいでいる姿があちこちで見える。タクシーはその横をすり抜けて奥へと進む。何が起こっているのか正確には掴み切れない。一番奥まで行くと車が吹き溜まりのように大量に停まっていて、その先は塞がれている。

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仕方なくタクシーを下りて歩き出す。歩行者は問題なく先まで行けるようだ。それにしたってかんかん照りの太陽の下だ。まともに長くは歩けない。こちらはそれでなくとも昨夜は空港泊でまともに休めていないのだ。

途中に売店の出ている場所があったので休憩する。ブラジリアンの2人もそこで休んでいて、どうにか先に進む手立てはないかと考えていたけれど、やはり進むしかなさそうだった。軽食を取り、みずのペットボトルを買って何とか先に進む。と、2人がローカルのお兄ちゃんの車をつかまえてなにやら話をしている。どうやらヒッチハイクに成功したようで早く来てと私達を呼んでいる。すかさずそこは飛び乗る。荷物を荷台に放り込み、Junちゃんは後部座席に、俺は荷台に飛び乗る。こういうのはアジアで十分に慣れている。

しばらく進むと警察がいるポイントがあったので2人で一度下りて見えなくなるポイントで再び乗り込むことに。警察の脇を抜けてそこまで行くとなんと乗客が10人くらいに増えている。慌てて2人で荷台に飛び乗るとすぐに急発進。荷台に乗った全員で歓声を上げながら入り口まで大騒ぎして向かう。いきなり現れたマジックバスにみんな大興奮だった。歩いている人をどんどん追い抜いて一気にエントランスに到着。再びみんなで大歓声を上げる。さすがノリノリのブラジリアンギャルズである。我々にとっては救いの女神だった。

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エントランスは無骨な警備員に守られていてなかなか先にも進まない。時間は午後3時、やっていられないほど暑くて日差しも強烈だ。1時間ほどしてようやく受付に進む。Junちゃんの当日券も問題なく手に入れることができ、スレン達のキャンプに向けて歩き出す。

しかし、これがどこまで歩いても気配がない。前方に湖が見えてきて、右手には駐車場とキャラバンキャンピングが見える。ここかと思って電話で確認したけれどもっと先だという。橋を渡ってさらに10分?言っている意味が良く分からない。でも人の流れはそっちに向かっている。20キロ以上の荷物を抱えて何とか一歩ずつ歩く。途中の日陰では力尽きそうになった人たちが座り込んでいる。なんだこれは、いい加減にしろと怒っている人もいる。全く同意である。ものすごく遠いし、暑いし重い。Junちゃんは途中の橋の先でダウン。俺だけ荷物を一部だけ持ってスレンのキャンプへと歩いていくことにした。

Barが一つあり、その先に行くとようやくインフォメーションセンターのような場所に出る。先に行ったはずのグラウディアとパトリシアもその辺りでふらふらになって休んでいた。地図と携帯灰皿を手に入れて先に進む。子供用施設のBaby Boomという、ちょっとお盛んな名前のエリアの裏手にいるらしい。あまり遠くないのでほっとする。クレジットが切れそうになっていたけれどなんとかもう一度連絡を取り、迎えに来てもらうことにする。目の前にはまた湖が広がる。楽園のようだった。ここが本当の楽園だと知るのはもうちょっと後のことになる。

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10分ほどで湖から上がってきたばかりのスレンと友人達に再会。ほっとして力が抜ける。キャンプまでたどり着き、荷物を置いて一服してJunちゃんを迎えに戻る。これがまたなかなかの距離だった。歩いても歩いてもたどり着かない。もしかして行き過ぎたんじゃないかと思った頃にようやく橋の袂にいたJunちゃんを見つける。そして驚いたことにリシュケシュで会ったシンヤ君とチハルちゃんのカップルも一緒にいたのだ。Boomに来るのは知っていたけれど、まさかこれだけの規模のPartyなのにテントも張る前に再会できるとはびっくりだった。

こういうことも全然起きる、それがいいPartyの証拠だ。いいPartyではどんなミラクルが起こっても不思議ではないのだ。それを信じることができればミラクルは連鎖して、私達は思いも寄らないような場所に運ばれていくことになる。

また長い距離を歩いてスレンのキャンプへ。途中でVuuVで会ったメルに再会する。こうやってどんどん繋がって行くのだ。この時点で今年のBoomが間違いなくいいPartyになることを心から確信した。

そして再会。スレンの友人達もみんな戻ってきていた。VuuVぶりの人もいればゴッチンゲンぶりの人もいる。ラムコークで乾杯してゆっくり話す。動き出すのは翌朝からだ。さすがに疲れ果てた。あの試練はどこかの軍隊のブートキャンプにしてもいいほどだ、と思う。途中にBarはあるにしてもだ。やがて遅い夕日が沈む。辺りは夕焼けの色で真っ赤に染まる。さあ、Partyが始まる。

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by djsinx | 2010-08-19 02:46 | Partyの記録
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