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ジャイプール着 そして結婚記念日


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朝一でリキシャを捕まえて駅に向かう。サライ・ロヒラというニューデリーの近くの別の駅から
乗る。シーク教徒のお祭りはまだ続いていて朝からパハールガンジでも鼓笛隊が勇ましい
音楽を鳴らしていて観光客が珍しそうに写真を撮っていた。

駅に着くとなんと列車の発車時刻が20分繰り上がっていた。急いで乗り込んで荷物を
整理していると程なく発車。ぎりぎりの時間に着いていたら乗り遅れていたところだ。
遅れなくなるのはいいけれど予定より早く出るのは勘弁して欲しい。まあ、そんなことを
誰に言っても改善は見込めないので早めに宿を出て自己防衛するしか方法はない。
だってインドだもん。

列車はある程度混んではいたけれどそこまでではない。途中からは結構空いてきて
余裕を持って座っていられる。景色は郊外になり、やがて茶色い乾いた畑が広がるように
なってきた。ラジャスタンのイメージだ。砂埃はこの日はそこまで酷くはなかった。

デリーの古本屋で買ったアシモフのSFを読んでいたらあっという間に到着した。
デリーを出てから6時間弱だ。とても近く感じる。周りのインド人に続いて下車。

駅を出るとうざいリキシャドライバーが群がってくるが大体宿は決めていたので全部
無視して歩く。そんなに遠くないと思っていたけれど道がでこぼこなのと車が多いので
結構大変だった。砂埃もひどい。荒々しい砂漠の国という風情だ。

なんとか第一候補の宿に到着したけれどそこは満室。向かいの宿に比較的安めの
部屋があったのでそこに即チェックイン。ジャイプールはかなり広い。大荷物で当てもなく
歩くのはかなり酷だ。

シャワーを浴びてリフレッシュして街を散歩する。MIロードと呼ばれるメインストリートは
広いけれど歩道周りがぐちゃぐちゃなままほったらかしでゴミと瓦礫で汚らしい。
むき出しになったどぶはヘドロでいっぱいで小便の匂いが時折強く鼻をつんざく。
途中のダバで軽く食事を取る。ラッシーが相当美味しく、カレーもスパイシーでうまい。
どこでも大体ハーフサイズが存在しているので気軽に頼めるのが嬉しい。ここで食べた
アルー・ゴビはかなりのクオリティだった。

そこからさらに歩いて旧市街の端のマーケットまで行ってみる。有名なキャッチコピー
どおりの「ピンクシティ」といった色合い。軒を並べるマーケットの店ははるか彼方まで
続いている。そこから南北に伸びている道々もほぼマーケット。すごい場所だ。
この日は移動の後なので適当なところで切り上げて宿を目指す。

人が悪いと聞いていたけれど基本的には人懐っこいいつものインド人達だ。
しつこいやつはもちろんいるけれど毅然とシカトすればいい。それができない
「思わず空気読んじゃう優柔不断な日本人」は昔から彼らのいいカモだ。

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帰り道で、薄汚い服を着て汚れた顔をした可愛い女の子が俺を見かけて近づいてきて、
同じように汚れたボール紙に乗せたねずみの死体を突き出して「10Rs!10Rs!」と
売りつけてきた。そんなもの触りたくもないので即刻追っ払う。冗談にしても酷い。
でももしかしたら彼女から見たらそれは価値のある食料なのかもしれない。
それにしたってこんなところで育ったねずみなんて絶対にお断りだ。ラオスの
サムヌアの市場で売られていたものとは全く話が違う。

ジャイプールの街はとても汚い。普通に大勢人が通るバス通りですらそこらじゅうにゴミが
山のように溜まっている。壊れかけた建物や道路の瓦礫は捨て置かれ、そういう場所は
特に吹き溜まりのようになっている。もちろんそんな場所があれば立ちションし放題だし
そこから流れた水はゴミでせき止められて側溝いっぱいに溢れそうになっている。
少し横道に入ればそういうゴミには牛や豚、山羊が群がってどれこれ構わず貪っていて、
それと並んでさっきのような少女や、下手をすれば一家族がゴミ漁りをしている。

ヴァラナシも相当ゴミはあったし汚かったけれど、それはちゃんと掃除されていたし、
汚れというものはガンガーコネクションがあったおかげで聖性の中に消え去っていった。
なんというか、あそこにはカオスの中に、もしくは奥底にそれを突き抜けるコスモスの存在を
感じることが出来たがここは違った。ごちゃごちゃなままで放置され、遺棄されたような、
救いのない荒漠とした不毛さが街全体を覆っているように感じた。広い空から感じるのは
開放感ではなくて押しつぶされるような閉塞感なのだ。

それがジャイプールの第一印象だった。

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でもこの日は結婚記念日だったのでお高めのケバブ料理レストランに行って久しぶりに
ビールを飲む。この日は満月で、シーク教徒のお祭も続いていたので月と花火で
なんとも豪勢だった。ベジケバブも美味しく、パニールはインドで食べた中で一番という
くらいの見事な出来だった。最後にシーシャを吸いながらのんびりする。

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by djsinx | 2009-11-03 15:36 | 旅の記録
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