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外来の概念が土着を駆逐するということについて

アメリカ発の心の病の「概念」や「情報」が世界の土着の心の病を駆逐して最適化された表現形になっているという話。ちょっと面白い発想ではある。例えばキリスト教が持ち込まれるまでは日本人は原罪という概念を理解していなかっただろうし、西洋人は業(カルマ)を理解していなかっただろう。だとしたら罪や業を基底とする信仰体系も生まれ得なかったわけだ。

宗教体験と心の病を同列に論じるわけにはいかないだろうけれど、「日常」や「正常」からの逸脱と考えた時に類似点は少なくない。ユタのカミダーリを始めとするシャーマンの素質は日常からの超越と常に隣り合わせだ。

そうやって考えていった時に、海外発のスピリチュアリズムと日本独自のスピリチュアルな文化(宗教学者の島薗進は「新霊性文化」と呼ぶ)の関係はどうなるのか?レッドフィールドやコエーリョのキリスト教の影響を受けたスピリチュアルと、神道や仏教の影響を受けた日本土着のスピリチュアルは競合しているのか、それとも融和しているのか。

例えば鯨は「頭がいいから」食べてはいけないとするような、人間中心的な考え方と、万物に等しく霊が宿り、いずれも尊いものであるとする汎神論的な発想を持つ考え方が、矛盾しながらも矛盾を顧みられずに共存しているようにも感じる。これはどうしたことなのか。

矛盾や破綻の容認がそこにあるとしたら、それこそが複雑系としての多様性を認めるという態度なのかもしれない。ただし、そこに秩序だったコスモスの醸成への動きが起こらないのであれば、単なるカオスの中に沈んでいく可能性もあるし、ただいいとこ取りの消費に終わるのかもしれない。まだその先までは見えない。

『クレイジー・ライク・アメリカ』 - 心の病とグローバリゼーション – HONZ
http://honz.jp/29110
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by djsinx | 2013-07-11 14:06