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初DJ in AUS

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目が覚めてJunちゃんがコーヒーを作ってくれる。気が付くと外にはエアを入れて膨らませる巨大なドームができている。日本では遊園地などにたまにあるあれだ。そこに機材を運び込んでシステムをセッティングしている。聞くと朝の10時過ぎから音を出し始めるらしい。暑くなりそうなのでサウンドチェックなどしているのを聞きながらもう一眠りする。11時過ぎてゆったりとした音が鳴っているのでフロアに出てみるとさっき準備をしていた男性がいて話しかけてくれた。どうもオーガナイザーの一人でJustinというらしい。先日私がNetで会場の質問をしたのを知っていて、その時にプロフィールを読んでくれていたようでよかったら今の時間回してみないかと誘われる。



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願ってもないチャンスだったので早速CDを準備して音を出し始める。11時半前、快晴、風が少し吹いて気持ちいい。チルアウトには絶好の日和だ。リズムを入れつつ少しずつ音を上げる。周囲を歩いてテントサイトに届いている音量を確認する。みんな日陰でゆっくり時間を過ごしている。木陰に布を敷いて本を読んでいる人、バンの後部座席をベッドにして風を入れて眠っている人。もう一人のオーガナイザーのIanが来て気持ちいい音だと言ってくれる。Justinは次にやりたい人が来るまで好きなだけ回していていいよと言う。そしてこの時間帯はがっつりアゲるはずだったけれど他のDJもスタッフもお客さんもこのままの感じがいいって言ってるからよかったら回しててと相当嬉しいことを言ってくれる。音は長時間できる用意はしてきたので起伏をつけてゆっくりと展開させる。途中リズムが早くなるとふらふらと散歩をしながら踊っていく人がいてノービートになると遠くでごろんとする人の姿が見える。途中Justinが遊びに来て去年京都の山行人に遊びに行った話等を聞かせてくれる。彼は山行人の緩い空気が気持ちよすぎてゴアギルを追いかけて富士に行くのを断念して一週間居続けてしまったらしい。朝のチルアウトもその時日本人のアーティストからもらったものだという。この日程の真裏でEarthCoreをやっていたが、彼はいわゆるフルオンだけのPartyには飽き足らずこうした企画をしたのだという。EarthCoreってのは日本で言うVisionQuestみたいなもんさと彼は笑う。VisionQuestの真裏で転輪祭をやっていた私には他人事とは思えない。これで彼のこともこのPartyのこともとても好きになった。

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4時間目に突入する3時半頃、DeadHeadsっぽいおっちゃんが水着でブースに来て川で聞いていると反響がすごくよくてみんな泳ぎながら踊ったりしているよと言ってくれる。泳げるとは聞いていたけれどそんないい感じだとは。長尺をかけて泳ぎに行こうかなと思っているとフロアのドームにのんびり布を敷いて休みに来るお客さんも来てしまったりしてなんとなく離れられずシエスタな感じでさらに回す。

ちなみに夏のオーストラリアは蝿がものすごい数発生するが、Bushの蝿の数はMelbourneの比ではない。常時20匹以上の蝿が体の周りを飛び回っていて顔だろうが腕だろうがところ構わずとまってくる。最初はこれはかなりしんどい。だからといってどうすることもできないので最終的には慣れるしかないのだが。

そして5時間半もしたころ、汗まみれで蝿まみれのままいるのもちょっとしんどくなってきて何より音の反響の素晴らしい川で泳ぎたかったので30分の曲をセットしてスタッフに一声かけて川に遊びに行く。ちょっとした崖を降りると倒木の上でお客さんが一人昼寝をしている。崖の上ではバンドの人がスティールパンを調律なのかゆったりと叩いている。川の水は日本のように流れてはいないけれど暖かく心地いい。全身に水を浴びて大の字になって川に浮かぶ。半月前は日本にいたのが今はもうずっと昔のことに思える。そして音は川にいると四方から響き渡るように聞こえてくる。二人でしばらく涼んでからブースに戻る。ようやく次のDJの準備もできたようで楽しかったよとお礼を言って車に戻って仮眠を取る。

しばらくアゲていたようだがやはりチルの気分になっていたのか音がゆっくりになってくる。そして1時間ほどすると音の感じが変わる。夕暮れの近い空に緩やかなダブが入り、いい流れで昼間の終わりが演出されている。Junちゃんがトイレの帰りにJustinに今回しているのはRainbowserpentの創始者の一人のKrustyだと聞いてくる。会って話すと面白いよ、さっきチルを回していたのが日本から来たsinXだってことは話しておいたからと言うので早速二人で会いに行った。

Krustyは90年代にはイクイノックス等とも一緒にPartyをやっていて日本に来たりもしていたということだった。当時はゴア・サイケのDJをやっていたらしいが今はそちらは引退してもっとゆっくりしたビートのよりサイケデリックな音を追求しているということだった。DJだけでなくワークショップもやっていて6時間の音と焚き火と茸を使っていて踊り続けるというものらしい。その間話は一切してはならず音と火と踊りに入り込むらしい。そしてその結果報告を翌週末のEntheoGenesisAustralianで行うという。運良くチケットも手に入れられたのでとても楽しみだ。そこからはじまりとにかく話が止まらない。音を繋ぐのも忘れて喋り捲る素敵な人だ。後でフロアで踊っていたら曲をかけてはフロアに出てきて気持ちよさそうに踊ってブースに繋ぎに帰っていく。全身で音と時間と空間を楽しんでいる。

Krustyも4時間近く回してその後ゴアトランスが流れ始める。サラダとスープを作ってワインを明けてのんびりしていたが、フロアを見ると焚き火が燃えはじめ、ファイアパフォーマンスの人が集まる。みんなフロアの周りに椅子や布を持ってきて自分達のペースで楽しんでいる。夜空にはようやく満月が高く昇って青白い影を地面に映している。本当に久しぶりに味わう初心の、そのまた一番最初に戻ったような満月の夜だ。二人で眠くなるまで踊ってメタリカの車に戻った。

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誰かが楽しそうな声でハワードが負けたと叫んでいた。この日は首相を選ぶ選挙が行われていた。政権が交代したようだ。いろんなものが岐路に立った日なんだろうか。そんなことを思いながら眠りに付いた。
by djsinx | 2007-11-24 22:29 | Partyの記録
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